Peace on the Tigris

2013年3月、ジャーナリストの綿井健陽は、これまで出会ったイラク市民の写真を手にバグダッド市街を走り回っていた。開戦前夜、空爆、米軍による制圧と占領、宗派抗争、爆弾テロ……様々な局面を取材し続けてきた綿井が、彼らの人生の「その後」を追い、戦乱の10年を描き出す。

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東田シネマvol.12は、映画『イラク チグリスに浮かぶ平和』を上映します。
公式サイト:『イラク チグリスに浮かぶ平和』
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11/27(金)13:30/15:45/18:00
11/28(土)13:30/15:45/18:00
11/20(日)13:30/15:45/18:00
  一般の前売予約チケット1000円/当日1200円 大学・高校500円

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出会いと、別れ − あるイラク人家族との10年の記録

2003年4月、チグリス川周辺を連日襲ったあの激しい空爆の翌日、綿井はバクダッド市内の病院で多くの空爆犠牲者たちと出会った。全身血だらけの娘シャハッド(当時5歳)を抱きかかえるアリ・サクバン(当時31歳)。彼はこの空爆で3人の幼い子どもを失った。同世代のアリに魅かれ、その後もサクバン一家を追い続けた綿井は、開戦からちょうど10年目に再会するはずだったが……。

「爆弾テロでイラク人が何人死亡」とだけ報じられるニュースの向こう側で、かつての少女は大人になり、ともに戦火をくぐりぬけ、親交を深めた友は命を落としていた。開戦当時三十代だった綿井自身が不惑を過ぎた。生き残ったイラクの人々は、終わることのない戦乱に疲れ果てていた。それでもなお、「戦争の日常」を懸命に生きる彼らの姿と表情と言葉を映像に刻みつける。

監督:綿井健陽(わたい たけはる)
1971年生まれ。映像ジャーナリスト、映画監督。97年からフリージャーナリストとして活動。98年から「アジアプレス・インターナショナル」に参加。これまでに、スリランカ民族紛争、パプアニューギニア津波被害、スーダン飢餓、東ティモール独立紛争、マルク諸島(インドネシア)宗教抗争、米国同時多発テロ事件後のアフガニスタン、イスラエルのレバノン攻撃などを取材。国内では、光市母子殺害事件裁判、和歌山太地町イルカ漁、福島第一原発事故などを取材。イラク戦争では、2003年から空爆下のバグダッドや陸上自衛隊が派遣されたサマワから映像報告・テレビ中継リポートを行い、それらの報道活動で「ボーン・上田記念国際記者賞」特別賞、ギャラクシー賞(報道活動部門)、「JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞」大賞などを受賞。

2005年に監督したドキュメンタリー映画『Little Birds イラク 戦火の家族たち』は、国内外の映画祭で上映され、ロカルノ国際映画祭2005「人権部門最優秀賞」、毎日映画コンクール「ドキュメンタリー部門賞」、米国リトルロック映画祭「ベストドキュメンタリー賞」などを受賞。


2011年、東日本大震災直後を取材したドキュメンタリー映画『311』(共同監督/森達也・綿井健陽・松林要樹・安岡卓治)が、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011東日本大震災復興支援上映プロジェクト「ともにある Cinema with Us」、2011釜山国際映画祭ワイドアングル部門に正式招待された。
著書に『リトルバーズ 戦火のバグダッドから』(晶文社)、共著に『イラク戦争―検証と展望』(岩波書店)、『フォトジャーナリスト13人の眼』(集英社新書)、『311を撮る』(岩波書店)、『光市事件裁判を考える』(現代人文社)など。


識者コメント:
加藤登紀子さん/歌手
香春クリスティーンさん/タレント
池田香代子さん/翻訳家
谷口真由美さん/全日本おばちゃん党代表/大阪国際大学准教授
青木さん/ノンフィクションライター
広河隆一さん/フォトジャーナリスト/DAYS JAPAN前編集長
金平茂さん/TV記者/キャスター
吉田照美さん/フリーアナウンサー
森達也さん/作家/映画監督
  

公式ホームページより)

監督:綿井健陽
プロデューサー:小西晴子
撮影:綿井健陽
ポストプロダクション・プロデューサー:安岡卓治
編集:辻井潔
編集助手:吉田拓史
撮影協力:イブラヒム・モウサ/ヘンドリン・アメディ/ワリード・フマディ
アラビア語翻訳:アルバクリ・ラフィッド/豊田ラマ/勝元サラー
協力:アジアプレス/口文幸記念スタジオ/上落合スタジオ/TokyoDocs 他
配給:東風
2014/日本/BD・DCP/108分/アラビア語・英語・日本語字幕/ドキュメンタリー